避難所となる学校施設で、災害時に自家発電できる設備を強化

大規模停電に備え、非常用発電機の重要性が増している

 地震や台風、豪雨などにより大規模停電が相次ぐ中、公共施設における電力供給の安定性を高めることが課題になっている。政府は2019年度補正予算と20年度予算を一体的に投入し、避難所となる学校などの公共施設に、停電時も自家発電できる設備の強化を図る意向だ。

相次ぐ大規模停電、遅れている対策
 2018年、震度7の地震に見舞われた北海道では、国内初のブラックアウト(全域停電)が発生。電力が復旧するまでの2日間、多くの道民が不自由な生活を強いられた。また、昨年秋にも台風15号の強風によって送電網が破壊され、千葉県内で大規模停電が起こったのは記憶に新しい。
 このように、災害時に電力の供給がストップした時の対策としては、復旧するまでの「72時間」を目安に自立型電源で補い、電力・水・照明などライフラインを確保することが重要になるため、行政機関や避難活動拠点に非常用発電機や再生エネルギーによる発電設備を整備することが求められている。
 しかし現状は、非常用電源設置済みの自治体の半数以上で、稼働可能時間が72時間未満にとどまっている。しかも、避難所の9割を占める学校施設で非常用電源を備えているのは、約半数だ。また、地域差もあり、東京や宮城、静岡などで8割を超える一方、大分や鹿児島などは2割に満たない。

補正予算などで非常用電源設置を推進
 こうしたことから、政府は昨年末に閣議決定した新しい経済対策の中で、学校施設の耐震化・防災機能強化として964億円を計上。また、災害等の非常時にも避難所等への電力供給を可能とするため、電動車や充放電設備の導入支援として50億円を盛り込んでいる。
 さらに、環境省においても、災害対応の観点から学校などの公共性の高い業務用施設を、停電時にも必要なエネルギーを供給できるZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)に近づけるための費用として10億円。再生可能エネルギー設備と蓄電池を組み合わせた電力供給システム等についても6億円を計上した。
 台風によって停電した千葉県内では、電気自動車(EV・PHV)が非常用電源として効果的だった。また、避難所においては安否確認などの情報収集手段としてスマホが不可欠になっており、その充電にも使えるため、こうした取り組みにも注目が集まっている。

平時に使っておくことが大事
 一方、これまでの災害ではせっかく非常用発電機を設置していても、浸水などによって役に立たなかったケースが起きているため、高所など安全な場所に設置することが重要になっている。函館市など津波に備え、5mの架台に発電機を置いているところもあるが、重量が重いことから屋外にそのまま設置しているところが大半だ。
 また、自家発電機の燃料(軽油・重油)は定期的に入れ替える必要があり、点検やメンテナンスを怠らないことが望まれる。だからこそ、いざというときに機能させるためには、平時にも稼働させておくことが大事になる。すなわち、非常用電源を導入する上では、稼働時間の確保とともに置き場所、そして平時の稼働にも配慮する必要がある。
 災害が起こるたびに新たな課題が浮かび上がるのが、防災対策の難しさだ。なかでも、今や我々の生活のほとんどに関わっている電力を確保することは、もっとも重要なライフラインになるといっていい。各自治体においては、これまでの災害を教訓に、それぞれの地域の特性に合わせて、非常時に活躍できる発電機の整備に努めてほしい。