非常用発電機 のメンテナンスが与える耐用年数への影響について

非常用発電機 耐用年数 (寿命)はメンテナンス計画に左右されます

非常用発電機の耐用年数とは 2つの捉え方があります。

ひとつは簿価上の減価償却15年の法定耐用年数

もうひとつはメンテナンスを適宜行った場合に期待できる寿命 国土交通省官庁営繕基準30年です。

今回は、後者の期待寿命とメンテナンスの影響についてまとめています。

よくある非常用発電機の誤解 法令点検とメンテナンスの違い

非常用発電機はユーザー様にとり分かりにくい部分があります。

「定期的に点検をしているから問題ない」という認識の違いがあります。

ユーザー様が点検を依頼していることと、メンテナンスが実施されていることは別物の

理由をまとめています。

非常用発電機の関係法令

非常用発電機は、電気事業法、消防法、建築基準法の法令に基づき点検義務があります。

電気事業法では、電気工作物として機器に異常や問題がないかを点検します。

消防法では半年点検、年次点検と負荷試験実施が法令で義務付けられています。

建築基準法もこれに倣います。

問題は非常用発電機の点検=メンテナンスではないこと

点検はあくまで関係法令に基づく項目を点検し「現状の機能に問題がない」ことを目的に確認をしています。

経年劣化に伴う不具合兆候が生じる前に対策を行うのが

メンテナンス=予防保全整備です。

非常用発電機の点検でよく指摘される事項

蓄電池(バッテリー)は交換時期と次回交換までの目安がラベルされています。

そのため、交換時期を超過していますと、点検報告書に記載されます。

搭載燃料も燃料ゲージから目視できるため、残量が減っていれば点検項目に指摘事項として記載されます。

表示ラベルや異常ランプ、ゲージで確認できるものは分かりやすいのですが

エンジンや制御ユニット内部は

各消耗部品の期待寿命や構成部品の耐用年数の専門知識を要します。

メンテナンスには非常用発電機の専門業者による点検整備が必要となります。

非常用発電機の耐用年数とメンテナンスの相関関係

非常用発電機は使用頻度の有無に関わらず、消耗品や構成部品に経年劣化が生じます。

経年劣化した消耗品を未整備のままにしておきますと、周辺機器の摩耗劣化を早めます。

冷却水交換を長期間行わない場合の事例

ラジエーター搭載の非常用発電機は、冷却水にLLC(ロングライフクーラント)が使われています。

LLCは1~2年毎に交換を推奨されています。

理由は、LLCに含まれる防錆効果、防腐効果、不凍効果が年を重ねるごとに効果が失われるためです。

期待効果を失ったLLCは、冷却機関の各所で目詰まりや錆を誘発します。

ラジエーター本体からの錆による水漏れは、LLCの防錆効果が失われた結果です。

LLCの目詰まりを起こすと、エンジンを正常に冷却できなくなります。

水温センサーや制御ユニットが正常に機能していれば、異常停止をします。

万が一故障をしている場合には、最悪のケースでは異常発熱によるエンジンのオーバーヒートや火災を起こす危険性を伴います。

周辺機器の摩耗劣化の進行は、非常用発電機本体の耐用年数を縮めてしまう結果になります。

非常用発電機を長く良好な状態に保つために

法令の年次点検に加えて、予防保全整備のメンテナンス計画を取り入れます。

最低限、オイルや冷却水など消耗部品を適宜交換することで周辺機器の摩耗劣化を抑制します。

毎年行う基本整備の中で、生産を終える構成部品の把握が可能になります。

非常用発電機の構成部品は生産終了がある

非常用発電機はモデルチェンジや構成部品のバージョンアップにより、旧モデルの構成部品の生産がいつかのタイミングで終わります。

専用設計された部品は、汎用品では代用ができないため、生産終了により入手できないタイミングで故障をしますと、直らない事態に直面します。

予防保全整備によるメンテナンスは、毎年行うことで部品終了を迎えるタイミングを把握しやすくなります。

生産終了を迎える前に交換整備のメンテナンスを行うことで

耐用年数を引き延ばす対策が可能となります。

非常用発電機の予防保全整備・メンテナンスの費用

非常用発電機に搭載されているエンジンメーカー、出力により異なりますが

広く普及している20~30kvaクラスの基本整備を行う場合

10~20万円前後の費用です。

オイル・冷却水交換、フィルター交換のほか

専門技術者の整備労務費、交通費、諸経費、産廃処分費が含まれます。

予防保全整備と事後修理のコスト比較

短期的には毎年予防保全(故障リスクを抑えるメンテナンス)を実施する方がコストが掛かります。

理由は事後修理の場合、故障が起きてからの対応となるため、故障が生じるまでコストが発生していないからです。

長期的には毎年予防保全を実施した方がトータルコストでメリットが生まれます。

理由は、故障発生リスクを抑えれば修理に掛かる費用は最小限となり、発電機の更新時期を遅らせる(期待寿命を延ばす)ことが可能になります。

事後修理の場合、コストの予見性ができないこと、故障個所によっては修理不能や高額修理により発電機更新が予定より早まることも出てきます。