非常用発電機の概要

電気設備が常に正常稼動するためには、品質の良い電源供給が不可欠である。日本国内の電力事情は非常に良好で、不測の停電の発生は少なく、雷撃や地震など自然現象による停電の場合はあっても、長期に渡る停電が発生することはほとんどない。

しかし、火災などが発生し、電力会社からの電源供給が途絶えた場合、発電機がなければ電気機器期を動かすことができない。特に、大規模な業務施設では消火栓やスプリンクラー、排煙機といった防災設備が多数設けられており、停電時に火災が発生するといった事態になると、初期消火や避難ができず大きな被害をもたらすおそれがある。

このような防災設備が「火災で停電になったので使えない」という事にならないよう、防災設備専用の非常電源が必要であり、非常用の運転に特化した発電機が広く用いられている。

予備電源の種類と関連法規

非常用に使用する電源に対する規制のうち、建築設備設計に大きく関わるものとして「電気設備技術基準」「消防法」「建築基準法」などがある。電気設備が安全かつ有効に動作することを担保するために、各種の電気設備に関する技術基準を満足する必要があり、消防法に求められた運転時間や出力を適正に出力できる計画としなければならない。

建築基準法により、災害時の予備電源として何の設備を何分以上動作させるか、といったことも定められている。多くの規制に対応する設備であるが、建物を安全に利用するために不可欠な設備であり、その特性や設計基準を理解するのが重要である。

電気設備技術基準に定められた保安用電源

非常用発電機は、電力会社からの電源供給が途絶えた場合、消防設備への電源供給だけでなく、需要家内にある電気設備の機能を維持するための「保安用電源」や「業務用電源」にもなる。避難や消火活動に使用する予備電源としても有効な設備であり、業務の継続や、保安用電源として活用できる。

消防法における非常電源

消防用設備への電源供給が途絶えた場合に使用する「非常電源」でもある。消火栓、スプリンクラー、消防排煙設備などの消防用設備等の電源として接続し、商用電源が遮断されても、消防用設備が適切に動作できるよう電源を供給することができる。

消防法では、それぞれの消防用設備がどのような火災で用いるかを定めており、それぞれの必要運転時間も規定されている。定格負荷で60分以上連続運転できること、燃料油は2時間以上の容量を持つこと、発電機起動信号を受けてから40秒以内に電圧確立することなど、多くの基準が定められている。

建築基準法における予備電源

非常用照明、排煙機の電源として使用する「予備電源」である。消防用設備の非常電源と同様、商用電源が突然遮断され停電となっても、一定時間は非常用照明などが動作するように計画される。

防災設備に30分以上電源供給できること、30分以上連続運転できる容量を持つこと、40秒以内に電圧確立することなどが定められており、消防法における非常電源と併用できる。消防法と建築基準法の両方に規制されている場合、消防法と建築基準法のどちらの基準も満足できるような機種選定や燃料計画が必要である。

建築物の電気設備として使用する非常用発電機の内燃機関は大きく分けて、ディーゼルエンジンとガスタービンエンジンの二種類が用いられる。原動機を使用した内燃機関は、切り替え時の始動が速く、動作の信頼性が高く、保守点検が容易といった多くの利点があり、発電機駆動用の機関として幅広く使用されている。

防災設備として使用される非常用発電機設備の場合、消防法により「ディーゼル」「ガスタービン」または同等以上の始動性能を有するものと規定されている。