火災原因のランキング2023年版:最も一般的な原因と対策

総務省消防庁が発表した「令和4年版 消防白書」によれば、火災の発生件数は、減少傾向にあり、平成23年度の出火件数が5万6件であるのに対し、令和3年度では3万5,222件となっています。
とはいえ、死者数や損害額は、減少傾向にはあるもののほぼ横ばいとなっており、引き続き、火災予防が必要です。

また、コロナ禍によるテレワークの増加で、自宅のガスこんろによる火災が増加した地域もあります。

事業所で取り組める火災予防には、火災報知システムの設置や定期的な火災訓練などがありますが、火災が起きる原因を理解しておくことも大切です。

今回は、火災原因のランキングをご紹介いたします。
火災が起こりやすい場所、要因を知り、火災の防止に役立ててください。

1.日本における火災原因を知る重要性

火災予防のためには、自分が住んでいる家や組織が抱える火災のリスクを把握することが重要です。なぜなら、リスクを特定することで、発生可能性や被害の程度を評価できるからです。評価を行うことで、この結果に基づいて、優先順位をつけて具体的な予防策を推進できます。

しかし、火災を完全に防ぐのは難しいため、適切な避難経路の計画を立てることも重要です。 火災リスクを把握することは、避難時に人命を救う可能性を高めます。 また、家族や従業員に火災予防の意識を高めるために、具体的なリスクを取り上げて説明し、適切な情報を共有することも重要です。

こうした理由から、本コラムのテーマである「火災原因を知る」ことの意義は大きいといえます。

火災の経済的および人命に対する影響

総務省消防庁が発表した「令和4年版 消防白書」によれば、令和3年中の火災による損害額は1042億円となっており、前年に比べ0.5%増加したといいます。

火災原因の一般的なランキングは以下でご紹介しますが、被害額別に見た場合の出火原因のワースト3は、次の通りです。

順位出火原因
1位放火の疑い
2位放火
3位電灯電話等の配線

また、同資料によると、令和3年中の火災による死者数は1,417人、負傷者数は5,433人で、減少傾向にあるといいます。

火災の予防と対策の重要性

前項では、令和3年中の火災における損害額や死傷者数をご紹介しましたが、減少・増加に関わらず、発生件数ゼロを目指す必要があります。

一度、燃えてしまった家屋や自然を元に戻すことはできません。特に、人命や歴史的文化遺産、思い出の品などは取り戻すことができません。替えが効く物に関しても、同等の状態を取り戻すには費用だけではなく時間もかかります。

下章でお伝えしますが、出火原因のほとんどは人の意識を変えれば防止できるものです。 個人や組織で火災予防を行うことで、火災発生をゼロに近づけることは可能だといえるでしょう。

2.火災原因の一般的なランキング

総務省消防庁が発表した「令和4年版 消防白書」によれば、令和3年中に起きた火災の原因として最も多いのが「たばこ」、次いで「たき火」、「こんろ」と続きます。 同資料から、出火原因のワースト10を表にすると、下記の通りです。

順位出火原因件数
1位たばこ3,402
2位たき火2,764
3位こんろ2,678
4位放火2,333
5位電気機器1,816
6位火入れ1,640
7位放火の疑い1,555
8位電灯電話等の配線1,473
9位配線器具1,354
10位ストーブ1,091

これらの出火原因を特性別にカテゴライズすると、下の4種類に分けられます。

電気関連の問題

5位の「電気機器」や8位の「電灯電話等の配線」、9位の「配線器具」のほか、上記の表には記載していませんが、12位の「電気装置」などが、この電気関連の問題に当たります。10位の「ストーブ」のうち、電気ストーブもこちらに属します。

電化製品やコンセントを正しく使用していなかったり、劣化しているものを使用したり、電気工事の際の漏電などが原因で発火し、火災に至るケースがあります。

人間の過失

1位の「たばこ」や2位の「たき火」、3位の「コンロ」、4位の「放火」、6位の「火入れ」など、火の不始末といった人間の過失や悪意などによって引き起こされている火災です。

たばこもたき火もコンロも、使用した本人が確実に火を消してからその場を離れれば、火災は起きません。

なお、火入れとは、造林や焼畑、害虫駆除などの目的で、森林などに隣接する原野などを焼却することをいいます。火入れが終わった後、火が消えたと思い込んで水などをかけずにその場を離れた結果、火の粉が飛んで燃え移り、火災が起きるとみられています。

自然災害

今回のランキングには入っていませんが、落雷による火災も起きています。 日本の中でも落雷数の多い新潟県などでは、近年も住宅や高齢者施設への落雷が原因の火災が発生しています。

3.各原因の具体的な対策と予防方法

上記の各原因に対し、具体的にどのような対策を取れば、火災を予防できるでしょうか?

電気関連の問題

電気関連の問題が原因で起こる火災は、トラッキング現象やショートによるものが大半です。 トラッキング現象とは、コンセントとプラグの間に溜まった埃が湿気を帯びることでショートしてしまうことをいいます。 ショートとは、絶縁がはがれた銅線同士が触れるなど何らかの原因で、本来決められた回路ではなくショートカットで電流が流れてしまうことです。この結果、大きな電流が流れることで電線が過熱し、発火する恐れがあります。

これを避けるには、たこ足配線を避けたり、電気製品を利用しない時はコンセントからプラグを抜き、古いプラグのタップは使用せず処分したりといった予防法があります。 また、電化製品の定期点検やメンテナンスも大切です。

人間の過失への対策

まずは、コンロやたばこなど、火を扱う際は火が確実に消えるまで、その場を離れたり目を離したりしないことが大切です。

とはいえ、ヒューマンエラーを完全になくすことは難しいため、一定の温度や時間を超えたら自動で消化する機能を持つコンロを使用したり、自動消火式の安全灰皿を購入したりなど、過失を技術でカバーするという考え方も有効でしょう。

万が一に備えて、消火器や簡易消火具を設備しておくことも大切です。消火期具があれば、初期消火で鎮火したり、火の勢いを弱めて避難のための時間を稼いだりすることができます。

自然災害への対策

落雷で火災が発生するのは、高圧電流または電柱に落雷した場合か、ガス管から電流が流れ込んでしまった場合です。 前者では、落雷によって電線に過剰な電流が流れ込み、トラッキング現象やショートが起きて出火します。 後者では、落雷によって地中のガス管に電流が流れ込み、接続回路に到達すると爆発し、火災に発展します。

このため、落雷による火災を防ぐには、アース端子を設置して地上に電流を逃がしたり、落雷防護機器を設置して過剰な電流が流れないようにしたり、使用していない電化製品のプラグをコンセントから抜いたりする必要があります。

また、そもそも、落雷を防ぐために避雷針や避雷装置を設置したり、周囲の樹木への落雷を防ぐために剪定や除去を行い、建物から離れた状態に保ったりすることも有効です。

4.まとめ

近年の火災による火災発生件数や被害額、死傷者数は減少傾向にあります。 しかし、一度火災が起きれば、人命を始め、自然や文化遺産など、失えば二度と取り戻せないものを焼き尽くしてしまう恐れがあります。 ここでご紹介したような出火原因を把握し、各原因に対して適切な対処を行い、火災を予防しましょう。