非常用発電機が故障する原因

有事に備えて、オフィスや店舗、ビルや工場などに非常用発電機を導入する企業や施設が増えています。非常用発電機は、必要最低限のメンテナンスをしっかり行えば長い時間使える設備ですが、メンテナンスを怠ると故障や不具合が生じる原因となってしまうため、注意が必要です。

非常用発電機が故障するおもな原因について理解しておくことで、メンテナンス時に非常に役立ちます。異常を起こしている箇所を早期発見して修繕すれば、より長く使用し続けることが可能です。

ここでは、非常用発電機が故障する主な原因をご紹介します。

バッテリーの劣化

非常用発電機の故障の最も多い原因は、バッテリー(蓄電池)の劣化です。電圧不足や充電器の故障によって稼働できなくなります。

バッテリーの製品や使用頻度、そして保管場所によっても交換時期は異なりますが、5年〜7年が一般的なメーカー推奨の交換時期となっております。

また、非常用発電機のバッテリーは経年劣化や気候条件によって上部の蓋が膨張して、液漏れを起こす危険性もあります。

非常用発電機のバッテリーを長持ちさせるためにも、メンテナンスの際に電解液の量や触媒栓の有効期限、電極板に剥がれや曲がりがないか、そして電圧や容器の傷の有無を確認してください。

エンジンオイルの劣化

発電機を稼働する際に必要不可欠なのがエンジンオイルです。金属部品で構成されているエンジンは、滑らかに稼働させるためにエンジンオイルを活用します。エンジンオイルは、経年するごと量が減ってしまうため、エンジンの動きを鈍らせたり、冷却効果がなくなったりする原因となってしまうので注意が必要です。

エンジンオイルの交換目安は2年に1回程度と考え、メーカー指定のエンジンオイルに交換してください。

冷却水の劣化

非常用発電機のエンジンを冷却する役割のあるラジエーターには、冷却水が入っています。この冷却水を適切なタイミングで交換しないと、発電機内の腐食やサビによって冷却効果が下がってしまい、エンジンがオーバーヒートする危険性があるため、注意しなければなりません。

一方で、寒冷地では冷却水が凍結してしまうケースもありますので気をつけましょう。

冷却水の交換の目安は、1年に1度です。メーカーが指定するロングライフクーラントに交換してください。

非常用発電機のメンテナンスの必要性

非常用発電機の耐用年数は30年ほどといわれていますが、実際には10年程度で故障や不具合が生じてしまい、使用できなくなっているケースも少なくありません。

ただし、正しい方法で定期的にメンテナンスすることによって、耐用年数を伸ばすことが可能です。常日頃使用するものではないため、不具合が生じにくいと考えられがちですが、稼働していなくても経年劣化は起こります。非常用発電機に使用されている各部品にもそれぞれ耐用年数が定められており、取り付けているだけでも経年劣化してしまうものがほとんどです。

このように、非常用発電機を長期間使用し続けるためには、部品を推奨交換期間内に交換すること、そして1年に1度は点検作業を業者に依頼することが必要不可欠です。故障のリスクを低減でき、不具合や劣化箇所を早期修繕することで、修理費用を抑えられます。非常用発電機は頻繁に使用しない設備ではありますが、日頃のメンテナンスや点検を怠らないようにしてください。

非常用発電機の耐用年数

非常用発電機の耐用年数には、「法定耐用年数」と「国土交通省官庁営繕基準の耐用年数」の2種類があります。

法定耐用年数とは、帳簿上減価償却が認められる期間です。減価償却資産は、購入した際に支払った金額を一度に計上するのではなく、毎年の経費として計上することができます。計上できる年数は建材や建築法、そして機械や機材の種類によって法律でそれぞれ決められており、非常用発電機の法定耐用年数は15年です。

国土交通省官庁営繕基準の耐用年数とは、国土交通省が管理する官公庁施設の建物や機材ごとに技術的な基準に基づいてどのくらいの期間使い続けられるかを定めたものです。この基準によると、非常用発電機の耐用年数は30年とされています。日頃からメンテナンスや点検を欠かさずに行うことで、30年間は使い続けられるということです。

非常用発電機の更新について

法定耐用年数は15年、国土交通省官庁営繕基準の耐用年数は30年と、基準によってそれぞれ耐用年数が異なりますが、非常用発電機を安定的に稼働し続けられる年数は、大体20年程度と考えましょう。設置から20年が経過したら、更新をするタイミングと考えて入れ替えを検討してください。

非常用発電機は、屋内ではなく屋外に設置されているケースがほとんどです。特に、ビルの屋上などに設置されていることが多く、入れ替えの際は十分な安全対策を講じる必要があります。

人通りの多い場所で入れ替え作業を行なう場合は、一般的な安全対策のほかに、車両の通行止めや交通規制、さらには周辺住民や建物への周知を行っておきましょう。

クレーンの負荷を下げるために、既設の発電機を分解したうえで搬入するケースもあります。その場合は、現地で組立て、設置していきます。非常用発電機の入れ替え目安は20年とお伝えしましたが、設置してから20年も経過すると、周辺環境にも大きな変化があるケースも多いでしょう。設置当初にはなかった建物や電柱などが新たに建っている場合は、入れ替えの際に障害にならないかをあらかじめ確認しておくと安心です。

また、2018年に消防法が改定されたことにより、非常用発電機の必要容量を求める計算式が変更されています。新しい非常用発電機に必要な容量も事前にチェックしていてください。

非常用発電機の更新費用相場

防災用途で設置されている非常用発電機の多くは出力40~80kva前後の発電機、そして中小規模のオフィスビルや商業施設内にある防災型非常用発電機の場合は、出力80kva~です。設置されている発電機の大きさによって更新費用は大きく異なるものの、おおむね500万円~と考えましょう。

近年は半導体不足や資材高騰の影響により、非常用発電機の価格も高騰しています。今後も値上がりするリスクが高いため、導入や更新を検討している方はなるべく早いタイミングで依頼するのがおすすめです。

非常用発電機は、大規模な地震や火災などによって停電が起きた際に、防災設備を稼働させられるよう、条件を満たす建物や設備への設置が義務付けられています。非常用発電機の入れ替え時期は、 30年〜35年を目安に実施するのが賢明です。非常用発電機が故障する主な原因はバッテリーやエンジンオイル、冷却水の劣化などがありますが、定期的なメンテナンスや点検を行うことで、耐用年数をより長く維持できます。

安定的に使用し続けるためにも、年に1回の負荷試験を実施し、日々のメンテナンスを行いながら、不具合や故障箇所がないか確認してください。非常用発電機は、資材高騰などの影響で値上がり傾向です。導入や入れ替えを検討している方は、なるべく早いタイミングで行うことをおすすめします。